名古屋市美術館
あいち芸術センターの次、名古屋市美術館に行く。中学生の頃に通ってた名古屋市科学館のある伏見の白川公園の敷地内にあるのに一度も行ったことなかった。伏見のあたりビルの背が伸びてる。道幅広いので相変わらず開放感はあるよ。
「無情」:藤井光
あいちトリエンナーレのタイトルが「情の時代」で、藤井さんの作品のタイトルが「無情」。太平洋戦争中に台湾の若者を日本化するために作った「道場」の様子の古い映画を映してる横で、現代の台湾の若者?に「道場」でされていた事を真似させてる様子を映す。道場での動作を時空を超えてコピーして見せている。
過去にあったものを感じるのと、現代に残った過去の遺産を見つけるのと、過去と現在を点と点をつなぐような作品と思った。
The Clothesline:モニカ・メイヤー
女性に宛てた質問が書いてある各用紙(はがきサイズくらい)がテーブルに置かれている。回答を書き込みロープで吊るす参加型の展示。
- 「女性として差別されていると感じたことはありますか? それはどのようなものですか?」
- 「あなたや、あなたの身近でセクハラ・性暴力がありましたか? それはどのようなものでしたか?」
- 「セクハラ・性暴力を無くすために何をしましたか? これから、何をしますか?」
- 「これまでに受けたセクハラ・性暴力に対して本当はどうしたかったですか?」
この展示に参加する事を少し考えるが、外に出さないでいる言葉をあえて出してみる。今まで文字や言葉にしなかった部類の事なので書き出すと、この紙では収まらず収集のつかないことになりそうで、氷山の頭のてっぺんだけ書く。このサイズに何を書くか考えてから書かないと困ったことになる。おみくじを結ぶような気持ちでロープに吊るす。
設置されている箱に入れておけばスタッフがロープに吊るしてくれる。
書かれたものは誰でも読める。読んでるのは女性だけでく男性も読んでた。
全体がピンクなのが「どうよ?」と思うけど、いくつか読んでいるうちに共感したりちょっと泣きそうになり
気持ちが引っ張られてしまい、次の作品を見るのに支障をきたす。
桝本佳子
The clotheslineに影響されてアワアワしながら見た。
実物を見るまでは面白いのかな?と、ちょっと疑問だったけど、工芸品に描かれた世界を外に拡張しているのは意外に面白かった。アワアワしないで見たい。
「1996」:青木美紅
作者自身の出生の経緯から幸せな風景を作品にしたんだと思う。
かなり大がかりの作品なのだが、小さな作業の蓄積でこれを作る執念がすごい。
「Shoum」:カタリーナ・ズィディエーラー
Tears for Fearsの「Shout」が流れてきて「?」と思う。
久しぶりに聞く。おっさんホイホイな曲で、口ずさんでしまった。
文字を書いてる映像が流れている。英語圏じゃない人が「shout」を聴きながら歌詞を書き写してるらしい。知らない言葉ってこうなるよなぁ。
バルテレミ・トグォ
名古屋市美術館の入り口に、外国に行くとよく出会うような、フレームにビニール袋を被せたゴミ箱が並んでいて「おや?日本ぽくないゴミ箱、しかも国旗がプリントされてる、ゴミ箱の袋なのに凝ってるな。」と、思ったら作品だった。普通にゴミ箱として機能しているんだろう。掴みはOK。
円頓寺・四間通
8月は徐々に日が短くなる。円頓寺に移動する頃には暗くなりかかってしまったけど金曜日は21時まで展示が見られるので助かる。
だいぶまえに名古屋に帰った時にカメラ持ってうろうろして、このあたりに迷い込んだことがある。寂れかかった大きな商店街と堀川が流れてるすぐそばに蔵が並んでるエリアがあって、「ココ名古屋?」と驚いた記憶がある。
名古屋といえば、コンクリートの建物が多くて白くて道路は広い。
太平洋戦争で空襲にあって丸焼けになってるから、あまり時間が蓄積されている空気は無い。名駅、伏見、栄以外の所にあまり行ったことなくて、繁華街は地下で地上には出ないからよく知らなかった。
以下、津田道子さんと岩崎貴宏さんの作品の展示会場である伊藤家住宅は、江戸時代に建てられた米を商いしてた家。米問屋かな?築300年だと音声ガイドが説明してた。このあたりは名古屋の大空襲で焼けなかった所なのだな。
「あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。」:津田道子
鏡とモニターとカメラかな。写り込みと撮影してる画像が重なったり面白い作品。
見たのは日が暮れてからだったので昼間見たら印象が変わるかも。
「町蔵」:岩崎貴宏
同じ伊藤住宅の蔵が展示会場。会場に入って「うわっ!」と声をあげてしまった。作者が広島出身ということが影響しているのか?
大きくない蔵の床から90cmくらい?蔵にあったらしい古い家具、生活用品を地層のように積み上げた上に炭を砕いたものが敷き詰めてある。まるで地表は爆撃を受けて黒焦げにされたようなイメージ。そこに円頓寺商店街のアーケードの骨組みと名古屋のテレビ塔が設置されている。
焼き尽くされた名古屋の様子に横溝正史フレーバーを加えたような、会場を出てから、しばらく足の下から冷えてくる。
「円頓寺ミーティングルーム」:梁志和(リョン・チーウォー)+黄志恒(サラ・ウォン)
古い写真の展示が良かった。
作家さんが香港出身で、今回の香港の抗議活動について理解と支持を求める文章が置かれていた。
《葛宇路》 2017:葛宇路(グゥ・ユルー)
経過が面白くて爆笑した作品。 葛宇路は、作家さんの名前なのだが、北京の道に自分の名前のプレートを設置していくプロジェクト。
実は、円頓寺銀座街の看板もこの作品に含まれているのかと勘違いした。↓
円頓寺、四間町は、リノベーションしたお店があったり、京都みたいに路地にレストランや居酒屋があったり、時間があったら探検したい所。展示を見るだけで街を見られていないのが残念でならない。
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