料金割引デーというわけで映画館いく。「ペンタゴン・ペーパーズ」と「タクシー運転手」のどちらを見ようか迷ったが、上映時間が間に合いそうだから「タクシー運転手」に決定。光州事件での実話を敷きにした映画で、去年からすごく楽しみにしてた反面、冒頭からシンドかったらどうしようって、実は腰引けてた。
映画の構造は、冒険脱出もの。冒頭は、コメディー調だから安心していられるし笑ってられるが、光州事件の事を知らないタクシー運転手(韓国国内で報道規制されており軍が光州への立ち入りを禁止していた)が、光州を取材に来たドイツ人記者を光州まで乗せたのがきっかけで、巻き込まれる。事件の詳細、経緯、解説は最低限。何が良い悪いといよりは、軍が自国民に銃を向けて無差別に殺した事にショックを受ける。「まさか、そんな事…」というのが柱。この事件を扱うのには映画は短いだろうが、あの時に起こったことの断片が詰め込まれているんだろう。多分、銃殺、撲殺、倒れた人に転がった死体、残忍な殺され方をした人、病院の風景、ソウルと光州の違い、道を封鎖している兵士、韓国の新聞記者…。記者を光州から無事脱出させるために自らを差し出す人々の「ココは任せろ。(頼んだよ)」のリレーが辛い。
一泊二日の旅で起こった事を運転手さんを通して見て、疑似体験する。1980年当時、私は、小さな子供では無かったが、光州事件の事をほとんど知らない。何も知らなかった運転手さんと似たようなものだ。知らない人に訴える、上手くできた映画だと思う。
映画を観終わってもすぐに立つ気になれず、街に出ても、なんだか、自分が1980年の光州事件の現場から脱出してココに居るような気持ちになる。とりあえずお腹が空いていてベルクでカレーを食べながら涙が滲んで困った。
今の韓国は、民主化を求めて人々が闘った結果で、ここに至るまで沢山の血が流れている。労働争議も激しかった記憶がある。死屍累々、屍の山を築いて越えねば民主化は進まないのだろうか。と、民主化に失敗した日本の片隅で思う。
もっと書きたいことがあるような気がするが、忘れる前にメモ。
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